楷書・行書・草書
こんにちは。かもめ膝行亭 ハラダでございます。
ひきつづき、今宵も落語ばなしでございます。
さて、みなさん、
楷書・行書・草書というコトバをご存知かと思います。
年はじめに山岡鉄舟の自伝を読んでいた時分、
鉄舟が "書" の先生に入門するにあって、
「千字文」という短句を楷書・行書・草書で
写し書きをしたってなくだりを読み、
『へェ、こんな偉人も稽古が大切なんだなぁ』
と身が引き締まる思いがしたのでございます。
そして、なぜかこのように格付けをしちまったんですね。
楷書=初心者
行書=玄人
草書=達人
でも、落語の名人芸に触れると、
これって違うかもなぁと思わされています。
たとえば、前回紹介した 「三代目 三遊亭金馬」。
ウィキペディアを読むと、"楷書のような落語" と評されています。
金馬師匠のみ聴くとわからないのですけれども、
いっけんなに言ってんだかよくわかんない
「五代目 古今亭志ん生」の落語を聴くと...
なるほど。
金馬師匠は、楷書かもと思わされます。
ラジオ全盛の落語家ですから、
噺の場面設定の解説など うま~く物語に織り込んであります。
丁寧なんですね。
逆に、志ん生師匠の落語は、
よっぱらってるんかいな、このジイサンと思うのですが、
なんどもなんども聴くとこなれてきて、
おもしろさがジワジワ~ビリビリきます。
てやんでぇ、べらぼうめな江戸っ子話が
すっと入ってきて、勢いで笑わされるんですねぇ
ジワビリです。たまらんです。
そう、
慣れてくると手順を端折った方が粋だね。
つるっと行きたいねってな感覚で聴くと、
志ん生師匠なんでしょう。
でも、そんな慣れなんて関係なく、
純粋に話に引き込まれると金馬師匠の丁寧さも
あ~う~ん。うまいこというなぁってのも、また粋なんです。
話の流れ、あえてたとえていうならば。
楷書=三代目 三遊亭金馬
草書=五代目 古今亭志ん生
行書は...楽しみができました。
楷書・行書・草書を階段でとらえるのでなく、
日々の局面局面で、
楷書・行書・草書の個々を、
その間にあるスペースを、
行ったり来たり、行かなかったり来なかったり、ラジバンダリ。
のんべんだらりと味わえる心意気が欲しいですね。
・おまけ:お二人の落語家の動画。
三代目三遊亭金馬 - 藪入り
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=3v0E6dO8yrs[/youtube]
五代目古今亭志ん生 - 風呂敷
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=LryfU7Ej9Ls[/youtube]
追記。
山岡鉄舟が書き写した「千字文」。いろいろ調べると、
中国の ”王羲之” という方が有名だそうで。
なぁーんて調べていたら、なんと。
ちょうど上野で王羲之の展覧会がやってました。
いやぁ。偶然っていいですね~